カジノへ行ったことがない、ブラックジャックをやったことがない、バカラって何?という方でも、ポーカー(Poker)という言葉はどこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか? ポーカーはトランプを使ったカードゲーム(テーブルゲーム)のなかでは世界で一番知名度が高いといっても過言ではなく、カジノの内外問わず親しまれています。
ただし、ポーカーと一口に言っても、それは例えば「車」という言葉と同じで、車に多種多様な車種があるように、ポーカーにもさまざまなタイプのゲームがあります。そのため、このページではまず派生した各種ゲームの根底にあるポーカーの基礎、共通するルールの部分についてまとめました。
このページの内容
ポーカーってどんなゲーム?
ポーカーはブラックジャックやバカラと同じく、トランプを使ったカードゲームです。起源は諸説あり、フランスの「ポーク(Poque)」、ドイツの「ポッヘン(Pochen)」というゲームがルーツだという説、ペルシャの「アース・ナース」というゲームがアメリカに渡って普及したという説、プリメロ、ブルランという古典ゲームが発展したという説などがあります。いずれにせよ、19世紀頃からアメリカで普及しはじめ、年月と共にルールにさまざまな改良がなされて「ファイブカードドロー」「セブンスタッド」「ホールデム」その他数十に及ぶバリエーションが生まれて、今では世界中のカジノで何らかのポーカーゲームをプレーすることができるようになりました。
現在は特に、コミュニティーカードポーカーという分類(後述)のなかのテキサス・ホールデム(Texas Hold'em)というゲームが世界的に人気です。1970年から毎年ラスベガスで開催されているワールドシリーズオブポーカー(WSOP)という世界大会では優勝賞金がなんと10億円超!勝ち残るためには知力・体力・精神力・忍耐力・判断力など様々なスキルを必要とすることから、アメリカではポーカーは単なるゲームの域を超えて一種のスポーツという位置づけとなっています。
基本的な特徴は2つ
ポーカーとはどのようなゲームかを簡潔にまとめると、「配られたカードの良し悪し+駆け引きが勝敗を左右するゲーム」と言えます。他のカードゲームと同じように、手札で作る役(ハンド)には強弱があります。しかしそれは結果を左右するひとつの要素にすぎず、むしろ「相手の手札はどうだろう」という読みや「弱い手札なのに賭け金を吊り上げて強くみせ、相手を勝負から降ろす」というハッタリ(ブラフ)、「強い手札なのにギリギリまで弱くみせて相手に賭け金を上げさせて勝つ」などの駆け引きの方が最終的な勝ち負けへの影響が強いため、単なるカードゲームというよりも心理ゲームと表現したほうが的確かもしれません。何を考えているか分からない、感情が読めないような表情のことを「ポーカーフェイス」と言ったりしますが、それはまさにこのゲームで相手に手を悟られないためのテクニックを指す言葉です。そのようなスキルも含めた技術とカード運とが絡む奥深さがあります。
ルールはさまざまでも役(ハンド)の優劣はどれもほぼ同じ
ゼロからはじめる初心者は、まず「役の種類」を覚えると良いでしょう。ポーカーには名前もルールも違ういろいろな派生ゲームがありますが、役の種類と優劣はほぼすべてのゲームで共通しています。だから役さえ覚えてしまえば、あとは「どのような過程で勝敗を決めるのかが違うだけ(=使うカードの枚数や配り方、賭けるタイミングや配当などの違い)」だということが分かり、各種ゲームのルールを理解しやすくなります。(いくつかのゲームはハンドに変則的なルールが加えられていることがありますが、それも基本の優劣を覚えておけば簡単)
どんな役がある?ポーカーハンドの種類と優劣順位
上記を踏まえ、「テキサスホールデムってどんなゲーム?」「スタッドポーカーとは?」「パイゴウポーカーのルールは?」など個別のゲームに触れる前に、役について見ていきましょう。ポーカーでは基本的にジョーカーを除くトランプ52枚を使います。そして手札は5枚。この5枚のカード組み合わせに、いろいろな役が用意されています。このページでは、一番弱い役から順番にご紹介します。
ハイカード(High card)
すべてのカードがバラバラで、これ以降説明するどの役にもなっていない状態をハイカードと言います。ノーハンド(役なし)、ノーペア、または日本では一般的に「ブタ」とも表現される状態です。同じハイカード同士なら、大きいカードを持っているほうが強い(詳しくは後述)。そして比較するために、手札の中の最も大きい数字を付けて呼びます。例えばこの画像なら「キング・ハイ」「キング-ダイヤ・ハイ」または比較するプレイヤー同士がキングを含むハイカードの時は、2番目に大きいカードを付け加えて「キング-ナイン・ハイ」とも言います。
ワンペア(One pair)
同じ数字のカードが手札のなかに1組ある状態をワンペアと言います。ワンペア同士の強弱は、まずペアとなっている数字の大小を比較し、それが同じなら残りのカードの最も大きい数字を比べます。
ツーペア(Two pair)
手札のなかに、同じ数字のカードが2組ある状態をツーペアと言います。対戦相手もツーペアだった場合の強弱は、まず大きい数字の方のペアで比較し、それが同じなら次に小さいほうのペアの比較します。そしてどちらのペアも同じ数字だった場合は、残った1枚の強さで判断します。
スリーオブアカインド(Three of a kind)
手札のなかに同じカードが3枚あって、残り2枚はバラバラの状態をスリー・オブ・ア・カインドと言います。(残り2枚がペアになるとフルハウスという上位の役になります) スリーオブアカインドは日本ではスリーカードと呼ばれていますが、日本以外やカジノでは基本的に通じません。アメリカではトリップスとも呼ばれます。スリーオブアカインド同士の強弱は、3枚揃ったカードの大小を比べ、次に残りのカードの大きいほうを比べます。
ストレート(Straight)
絵柄は関係なく、数字が連続した状態をストレートと言います。ストレートにAが絡むのは、A-2-3-4-5(最弱)、10-J-Q-K-A(最強)のときだけで、例えばK-A-2-3-4のように途中に入ることはありません。ストレート同士の強弱は、最も大きい数字の大小で判断します。
フラッシュ(Flush)
数字は関係なく、スート(絵柄)が一種類に揃った状態をフラッシュと言います。フラッシュ同士の強弱は、一番大きい数字の大小で判断します。そのため、フラッシュはそのカードの数字を付け加えて呼ぶこともあります。この画像ではJが最も大きいので、「ジャック・ハイ・フラッシュ」となり、もしもJ同士のフラッシュなら2番目に大きなカードも比較するため「ジャック-10・ハイ・フラッシュ」と呼びます。
フルハウス(Full house)
スリーオブアカインド+ワンペアの状態をフルハウスと言います。(一部ではフルボート"Full Boat"とも言います) フルハウス同士の優劣は、まず3枚揃ったカードの大小を比較し、それが同じ場合はペアの大小を比較します。数字を付けて呼ぶときは、「3枚揃った数字 + Full + of + ペアの数字」で言い、この画像ならセブンス・フル・オブ・ジャックスとなります。
フォーオブアカインド(Four of a kind)
手のなかに4枚同じ数字のカードがある状態がフォー・オブ・ア・カインドです。日本ではフォーカード、アメリカではクワッズ(Quads)とも言われます。
ストレートフラッシュ(Straight flush)
ポーカーハンドで一番強いストレートフラッシュは、その名のとおりストレートとフラッシュが組み合わさった状態です。つまり、スートが同じで数字が連続していると、ストレートフラッシュとなります。このハンド同士での優劣は、最も大きい数字を持っている方が強くなります。
一番強いストレートフラッシュがロイヤルフラッシュ(Royal flush)
ストレートフラッシュの中で最も強いのが10-J-Q-K-Aの組み合わせで、これをロイヤルフラッシュ(日本ではロイヤルストレートフラッシュ)と言います。反対に、最も弱いのはA-2-3-4-5で、これをスチール・ウィール(Steel Wheel)とも呼びます。
ハンドの優劣に関する補足
いかがでしょうか?どのようなハンドがあるかはご理解いただけましたか? 改めて以下の表にまとめました。
ハイカード | どの役にもなっていない状態 |
---|---|
ワンペア | 手札に同じ数字が1組ある状態 |
ツーペア | 手札に同じ数字が2組ある状態 |
スリーオブアカインド | 手札に3枚同じ数字のカードがあり、残り2枚はバラバラ |
ストレート | 数字が連続している(AはA-2-3-4-5か10-J-Q-K-Aだけ) |
フラッシュ | 5枚とも絵柄が同じ状態(数字はバラバラ) |
フルハウス | スリーオブアカインド+ワンペアの状態 |
フォーオブアカインド | 手札に4枚同じ数字のカードがある状態 |
ストレートフラッシュ | 数字が連続していて、絵柄もすべて同じ状態 |
ハンドの優劣・カードの強弱
同じ役同士の比較では、まず役の主要な部分のカードの大小で判断します。ハイカード、ストレート、フラッシュは一番大きなカード、ワンペア、ツーペアはペア部分、スリーオブアカインドやフォーオブアカインドは3枚、4枚の同じカードが比較対象。強い順にカードを並べるとA-K-Q-J-10-9-8-7-6-5-4-3-2となります。ただし、ストレートのA-2-3-4-5の際は5を一番大きなカードと考えるのでご注意下さい。
役の主要部分が同じ数字で決着がつかない場合は、残りの部分の一番大きなカードが判断基準となります。(残りのカードのことを"キッカー"と言います) それでも優劣が決まらないなら2番目に大きなカード、3番目のカードと進み、全部同じだった場合は引分けとなります。
スート(絵柄)は強弱に関係ある?
スートは基本的には強弱に影響を与えません。しかし、カジノによっては、またゲームによってはスートにも優劣があり、数字が同じ場合はスートで判断することもあります。
どんな種類のゲームがある?大まかな分類
次は、どんなゲームがあるのかみていきましょう。ポーカーにはさまざまなルールのゲームがありますが、大きく分けると3つに分類できます。
ドローポーカー(Draw Poker)
ドローポーカーは、配られた手札から不要なカードを捨てて、カードの束(山)から新しいカードを引き、手を完成させて勝負、という流れでゲームが進行するタイプのポーカーです。Drawとは(カードを)引くという意味があります。手札を完全に隠して(他のプレイヤーに見せない)プレーするため、クローズドポーカーとも言います。
ドローポーカーのなかで最も普及しているのがファイブカード・ドローというゲームです。簡単に流れを説明すると、最初にプレイヤー全員に5枚カードが配られます。その時点で賭ける、降りるなどの判断をし、次に一人ずつ要らないカードを捨てて山の新しいカードと交換します。全員が交換し終えたら再び賭け金の吊り上げや降参を一人ずつ決め、最後に手札を開示して強い役を持っているプレイヤーが勝ち。
ドローポーカーはルールが簡単で初心者もとっつきやすく、ポーカーがどのようなゲームかを知る入り口に最適。今では、カジノのギャンブルというより家庭ゲームとして広く浸透しています。日本でも、ポーカーといえばおそらくこのファイブカード・ドローを連想する方が多いでしょう。
ドローポーカーの種類
ファイブカード・ドロー(Five Card Draw)、ガーデナ・ジャックポット(Gardena jackpots)、カリフォルニア・ローボール(California lowball)、カンザスシティ・ローボール(Kansas City lowball)、ダブル・ドロー(Double-draw)、トリプル・ドロー(Triple Draw)、バドージ(Badugi)、バドーチ(Baduci)、カリフォルニア・ハイ/ロウ・スプリット(California high/low split)、フォー・ビフォー(Four Before)、ジョンソン(Johnson)、Q-Ball(Qボール)
スタッドポーカー(Stud Poker)
スタッドポーカーは、何枚かのカードは裏向き、残りが表向きに配られるタイプのポーカーです。裏向けの伏せたカードは自分だけ見ることができ、残りのカードは他のプレイヤーにも開示されます。そのため「相手が何のカードを持っていて、見えているカードと合わせてどんな役ができるか?」を予想・判断しながらの駆け引きが生じます。一部のカードが最初から開かれた状態なので、オープンポーカーとも言います。
ゲームの進行を簡単に説明すると、最初に何枚かのカードを裏向きに配られます(枚数はゲームによって異なります)。まずその時点で賭けたり降りたりを決め、一巡すると各プレーヤーにカードが1枚表向きに配られます。そしてまた賭けの判断を行い、次のカードが配られます。これを繰り返し、最後のカードが配られた時点で賭けの最終判断を行い、残ったプレイヤーがカードをオープン、手役の優劣で勝敗が決まります。
スタッドポーカーはカジノでも非常にポピュラーで、さまざまなバリエーションのゲームがあります。最も普及しているのはファイブカード・スタッドやセブンカード・スタッド。ほかには以下のようなゲームがあります。
スタッドポーカーの種類
ファイブカード・スタッド(Five Card Stud)、セブンカード・スタッド(Seven Card Stud)、シックスカード・スタッド(Six Card Stud)、ラズ(Razz)、エイト・オア・ベター・ハイロー・スタッド(Eight-or-better high-low stud)、ミシシッピ・スタッド(Mississippi stud)、メキシカン・スタッド(Mexican stud)、Caribbean stud(カリビアン・スタッド)、
フロップポーカー(Flop Poker)
フロップポーカーは、何枚かのカードが自分に裏向けで配られ、そしてテーブルの中央にプレイヤー全員が共有するカード(これをフロップと言います)が表向きに並べられ、手元の伏せたカードと中央の共有カードを組み合わせて役を作るタイプのゲームです。一部のカードがクローズ、一部がオープンという点ではスタッドポーカーに似ていますが、スタッドポーカーの表向きのカードは自分だけが使えるもの(各プレイヤーに配られる)に対し、フロップポーカーの表向きのカードはプレイヤー全員が共通して使います。そのため、別名コミュニティカードポーカー(Community Card Poker)とも言います。
ゲームの流れとしては、まずプレイヤーに何枚か裏向けでカードが配られます。この段階で一人ずつ賭けの選択を行います。続いて中央にフロップのカードが並べられ、再び賭けの選択を行います。さらにカードが追加されて賭けを判断、これを何度か繰り返し、最終的に残ったプレイヤーが手元のカードを開示、そしてフロップとの組み合わせでできた役の優劣を判断し、勝敗が決まります。
フロップポーカーは現在もっとも人気があるポーカーゲームです。当ページの冒頭でも触れたテキサス・ホールデム(Texas Hold'em)は最も普及しているフロップポーカーであり、世界各地で大会が開催されています(もちろん日本でも)。
フロップポーカーの種類
テキサス・ホールデム(Texas Hold'em)、ダブル・ホールデム(Double hold'em)、アイリッシュ・ポーカー(Irish Poker)、ノーリバー・ホールデム(No River Hold'em)、ロイヤル・ホールデム(Royal Hold'em)、オマハ・ホールデム(Omaha Hold'em)、パイナップル(Pineapple)、タホ(Tahoe)、マニラ(Manila)、ピナツボ(Pinatubo)
ポーカーとはどのようなゲームか?まとめ(仮)
いかがでしょうか?ポーカーとはどのようなゲームなのか、その大まかなイメージ、全体像はなんとなく掴めましたか?このページでは専門用語を極力避け、まったくポーカーを知らない方でも理解できるように基本の部分のみをまとめています。そのため、すでにプレーしている方にとっては中身の薄い情報かもしれませんが、これから始める方にとってはポーカー入門としてお役に立てば幸いです。
ここでご紹介した役の種類や優劣、ゲームの分類といった知識は、あくまでポーカーというゲームの表層でしかありません。(だからまとめに"仮"をつけています笑) スタッドポーカーやホールデムなどのルール詳細・プレーの進行・賭け方等については、それぞれ個別のページにて解説していますので、合わせてご覧下さい。