クラップス(Craps)は、カジノを代表するテーブルゲームの1つです。
一口に「テーブルゲーム」と言っても、それぞれ味わいが違いますよね。見た目にも優雅なルーレット、シンプルなのに熱くなるバカラ、己の技量がものを言うブラックジャック。そして、クラップスを一言で表すなら「みんなでワイワイ楽しめるエンタメ」と言ったところ。
ルールをものすごく簡単にまとめると、「2つのダイス(サイコロ)をテーブルで転がして、出た目によって結果が決まる」だけ。ところが、賭け方がいくつもあったり、ゲームの進行が少し複雑だったり、またランドカジノならテーブルの周囲がプレイヤーたちで賑わっていることが多く、初心者は割って参加しずらい雰囲気があります。
ただ、おもしろいから人が集まっているのであり、実際にやってみると他のカジノゲームにはない連帯感が味わえます。全容をひとたび理解してしまえば虜になってしまうかもしれません。
ということで、このページではクラップスの概要、ルールの詳細、ゲームの進行、賭け方の種類や倍率など必要な知識を全部まとめて解説しました。クラップスを楽しむためのガイドブックとして参考にお役立て下さい!
このページの内容
クラップスってどんなゲーム?
クラップスはダイス(サイコロ)を2個、フチが高くなった大きな桶のようなテーブルのなかで転がして、出た目に応じて払戻しが決まるゲームです。テーブル内には複雑な模様が描かれていて、それがベッティングエリア。プレイヤーは賭けたい場所にチップを置き、そしてプレイヤーが順番にダイスを転がします。ここが重要。
クラップスにおいて、ディーラーはあくまでゲームの進行役にすぎません。チップの払戻しやダイスを渡すだけ。
ランドカジノであなたを含めた複数のプレイヤーが同じテーブルで遊んでいるなら、参加者の1人が投げたダイスの目によって、全員の勝ち負けが決まります。このとき、自分を含めて周りにも都合の良い結果が出たらみんなで勝利の嬉しさと興奮を分かち合う。
そんなゲームの特徴がアメリカ人の気質に合っているのか、ラスベガスをはじめ北米のカジノでは非常に人気。他の地域のカジノにおいても、たいていは人だかりができているでしょう。(そもそもクラップスのテーブルが、カジノ内でブラックジャックやバカラほど多く設置されていないため、ということも理由ですが)
クラップスは、12世紀に十字軍がアラビア遠征した際に中近東で遊ばれていたゲームをイギリスへ持ち帰ったことが起源だと言われています。そのとき2や3や12をクラブ(Crab、蟹、しくじり)などと読んでいたものが歴史とともに変化してクラップス(Crapはごみ、クソの意)になったとされます。18世紀にフランス人がアメリカに持ち込み、そして普及していきました。
ダイスの目によって勝敗が決まるため、ルーレットと同じく結果は完全に運次第。また、賭け方もルーレットのように何種類もあります。
反対に、ルーレットと完全に異なる点もあります、それは、クラップスでは賭け方によってハウスエッジ(カジノ側の控除率)が変わるということ。ルーレットは、どの賭け方をしても控除率は一定、例えばヨーロピアンルーレットなら2.7%です。(=長く続けるほど、カジノ側が総賭け金の2.7%ずつ儲かるように確率が調整されている)よって、あなたがどんな賭け方をしようが、初心者か経験豊富かに関わらず勝てる可能性はいつもまったく同じ。
一方でクラップスは、「プレイヤーにとって確率的に不利な賭け」というものが盤面にまるで地雷のようにいくつか用意されています。そして、その事実を知っているか知らないかの差は大きく収支に反映されます。だから、クラップスは「狙うべき賭け方についての知識+運」という性質を持つゲームと言えるでしょう。
そして実は、クラップスはそうした地雷を避けると、カジノのすべてのゲームのなかで最もプレイヤーに良心的な払戻しを行うゲームでもあります。ゲームとしてのおもしろさと、確率的にプレイヤーに優しいという事実がクラップスの人気を支えていて、バカラ同様にハイローラー(高額を賭けるプレイヤー)が多いのも特徴です。
クラップスのルールの詳細
では、ここからはクラップスのルールを詳しくご説明していきます。
ベッティングエリアの模様が複雑(賭け方の種類が多様)で初心者にはとっつきにくいのですが、ゲームの基本となる賭けはエリアの一番外側を囲んでいるパスライン(Pass Line)という賭け方。
賭け方については後でもう一度解説しますが、まずこのパスラインベットとゲームの進行を合わせてクラップスの全体像を言葉にすると、こうなります。
ゲームは始まる前にパスライン上にチップを置きます。そして、参加者の一人がダイスを2個投げて、初投で7か11が出ると勝ち。2倍で払戻し。反対に初投で2、3、12が出ると負け。それ以外の数字(4, 5, 6, 8, 9, 10)が出ると、その数字がそのゲーム中の「当たり数字」となってゲーム継続。もう一度同じ人がダイスを投げ、これ以後は7が出るより前にその当たり数字が出ると勝ち。7が出ると負けでパスラインのチップは回収されます。
パスラインベットでゲームの流れを解説
今度は図でご確認ください。
例えば、あなたを含めた5人が同じテーブルでゲームに参加しているとします。そして、今あなたがダイスを投げる番です。パスラインに、5人全員が100ドルずつ賭けているとします。
あなたがダイスを転がしました。その目が7か11であれば、その時点で全員が勝ち。2倍で払戻しを受け取ります。一方、もしも2か3か12が出てしまったら、5人とも負けとなります。
例えば1投目で6が出たなら、その6が今回の「当たり数字(ポイントナンバー)」になります。あなたの投げる役はまだ続き、再びダイスを転がします。2投目は5、3投目は8、4投目は10、そして5投目に待望の6が出ました。この場合、7よりも先に今回の「当たり数字」である6が出たため、パスラインへ賭けた5人全員は勝ち。配当2倍でみんな100ドルゲット。もしも、6が出るより先に7が出てしまうと負け。
そして、7が出たらゲームがひと区切りとなり、ダイスを投げる役が隣の人に移ります。
カムアウトロールからセブンアウトまでが1つの「シリーズ」
いかがでしょうか?専門用語を省いてゲームの全体像をイメージできるよう解説しました。
ダイスを投げる人をシューター、1投目をカムアウトロール、1人のプレイヤーが投げている期間のことをシリーズ、そして7が出でシューターが交代することをセブンアウトと言います。
パスラインに賭けると、1投目に7か11が出ると勝ち、2、3、12はダメ。1投目がそれ以外の数字だと、今度は2投目以降に7が出ると負け。「初回は7が嬉しくて、2投目以降は嬉しくない」こう覚えると分かりやすいかと思います。
さらに、カムアウトロール以後、ダイスを転がす毎回の前にパスライン以外のさまざまな賭けを追加していくことができます。賭け方ごとに「次にその目が出たら的中」「シリーズ中にその目が出たら的中」など条件は異なります。参加者みんながいろいろな賭け方をし、あなたがダイスを投げ、その結果によってみんなのチップが動いていく。
あなたが、自分を含め他のプレイヤーにも都合の良い目を出し続けるなら、あなたは彼らにとって「ツキを運ぶ良いシューター」であり、テーブルはあなたを中心に大いに盛り上がります。
「7が一番出る」ということ-ダイスの出目の出現率の違い
2個のダイスの目は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12の11種類が出る可能性があり、組み合わせは6x6=36通りです。それを表にすると以下のようになります。
2の目 | 1&1 (1通り:確率2.7%) |
---|---|
3の目 | 1&2、2&1 (2通り:確率5.5%) |
4の目 | 1&3、3&1、2&2 (3通り:確率8.3%) |
5の目 | 1&4、4&1、2&3、3&2 (4通り:確率11.1%) |
6の目 | 1&5、5&1、2&4、4&2、3&3 (5通り:確率13.8%) |
7の目 | 1&6、6&1、2&5、5&2、3&4、4&3 (6通り:確率16.7%) |
8の目 | 2&6、6&2、3&5、5&3、4&4 (5通り:確率13.8%) |
9の目 | 3&6、6&3、4&5、5&4 (4通り:確率11.1%) |
10の目 | 4&6、6&4、5&5 (3通り:確率8.3%) |
11の目 | 5&6、6&5 (2通り:確率5.5%) |
12の目 | 6&6 (1通り:確率2.7%) |
これを見ていただくと一目瞭然、7の出現率が最も高い。出現率は全体の約6分の1。この7が、クラップスの重要な数字だということを覚えておいて下さい。また、それぞれの目の出現率の違いが、賭け方ごとの払戻し倍率の違いにもなります。
クラップスのルールの重要点
一旦、ルールの重要なところをおさらいしましょう。
- ダイスを2個投げる
- プレイヤーが順番にダイスを投げる
- ディーラーはゲームの進行役(結果に関与しない)
- ダイスの目で結果が決まる
- 1投目(カムアウトロール)から7が出て終わる(セブンアウト)までがシリーズ
- いろいろな賭け方があり、配当が異なる(後述)
- パスラインが基本の賭け
- パスラインの賭けは、1投目が7か11なら勝利、2、3、12なら負け
クラップスの賭け方の種類と配当
ということで、ここからは多彩で複雑なクラップスの賭け方をご紹介していきます。
既述のとおりクラップスの盤面にはプレイヤーに不利な賭け方(確率に対して配当の倍率が低いもの)が、まるで地雷のようにいくつか用意されています。そのあたりの要点も含めながらザッと並べました。
重要な3つの賭け「パスライン」「カム」「オッズベット」
まずは、基本の3種から。
パスライン(Pass Line)
パスラインベットは、クラップスの最も基本的な賭け方です。
シューターの1投目(カムアウトロール)の前にのみ賭けることができ、その1投目が7か11なら勝ち(ナチュラルやウィンと呼びます)、2か3か12が出てしまうと負けで、これをクラップスと言います。
払戻しは等倍(賭け金を含めて2倍)です。
7、11または2、3、12以外の数字、つまりカムアウトロールで4、5、6、8、9、10が出たら、2投目以降に7よりも前にその数字(ポイントナンバー)が出ると勝ち。ポイントナンバーより先に7が出てしまうとパスラインに賭けたチップは回収されます。
余談ですが、世界中で見かけるコンビニ「セブンイレブン」の名前の由来は、アメリカでの創業当時に7時から11時まで営業していたからではなく、クラップスのこの当たり目からとったとか。
カム(Come)
カムもパスラインに並んでクラップスの重要な賭け方。
カムアウトロール(1投目)以降に賭けることができ、カムに賭けた直後のスローで7か11が出ると勝ち、2か3か12が出ると負け。それら以外の目が出たなら、7よりも前にその数字が出ると勝ち、7が出てしまうと負け。
払戻しは等倍(賭け金を含めて2倍)です。
要するに、パスラインとカムの違いは、前者は1投目前、後者は2投目以降しか賭けられないことだけ。
例えばカムに賭けた直後の目が6だったなら、置いたチップ(あなたのカムへの賭け)の当たり数字が6だと分かるよう、チップがカムのエリアから6のマス目に移動されます。
2投目の前でも3投目の前でも、シリーズ中にあなたの好きなタイミングで参加できます。
オッズベット(Odds Bet)
オッズベットとは、パスラインとカムにあとから賭け金を追加する賭け方です。
パスラインやカムは、賭けた直後の目が2、3、7、11、12以外なら、シリーズ中にシューターがポイントナンバーか7を出すまで賭けが続行されます。その決着がつくまでに追加で賭けられるのがオッズベット。
パスラインへのオッズベット(パスラインオッズ)は、最初に賭けたチップのそばに追加を置きます。カムオッズは、チップがポイントナンバーの枠に移動されてスペースが小さいため、最初に賭けたチップの上にずらしてチップを置きます。
オッズベットがパスラインやカムと並んで重要な賭けである理由は、単なる追加の賭けではないため。オッズベットとして追加で賭けた金額の部分は、ポイントナンバーと7の出現率の差に応じた、ハウスエッジ0%(=カジノが一切天引きをしない)のプレイヤーに最良な状態となります。
例えばポイントナンバーが4や10なら、目の出現率は8.3%(表参照)であり7の出現率16.7%のちょうど半分であるため、配当は2倍(賭け金含めると3倍での払戻)となります。
5か9なら1.5倍(2.5倍)、6か8なら1.2倍(2.2倍)。
パスラインやカムと同じ条件で的中・不的中が決まるにもかかわらず、あとから追加したオッズベット部分は純粋な確率に従った適正倍率での払戻し。つまり、オッズベットはクラップスで利益を増やすための最も重要なオプションとなります。
オッズベットはカジノにとって何のメリットもない(儲からない)賭けなので、たいていは賭け金の上限が設定されています。テーブルに示してあるかディーラーに尋ねてご確認ください。
パスライン、カム、オッズベットのおさらいシミュレーション
ここまでの3つの賭け方を絡めて具体例を挙げます。
例えば5人が同じテーブルにつき、5人全員がパスラインに100ドル賭けています。あなたの隣のプレイヤーがシューター役で、カムアウトロールは6でした。するとそのシリーズのポイントナンバー(当たり数字)は6で、以後7より先に6が出ると勝ち。
ここで、あなたは2投目の前にカムにも100ドル分のチップを置きました。そしてシューターがダイスを投げ、2投目の目は4でした。つまり、あなたが賭けたカムは、次の目(3投目)以降に7よりも先に4が出ると勝ちとなります。
さらにあなたは最初に賭けたパスラインに、オッズベットの100ドルを追加し、同じくカムオッズにも100ドル追加しました。
シューターが3投目を投げ入れ、目は8。4投目は10。5投目は12。そして6投目に6が出ました。よって、パスラインに賭けた全員が的中で、喜びを分かち合います!あなたはパスラインとしての払戻し100ドル x 2倍 = 200ドルと、オッズベットの6(2.5倍)の払戻し100ドル x 2.5倍 = 250ドルも受け取りました。
しかしこれで終わりではありません。
まだ7は出ていないため、シリーズは続きます。次の7投目に、見事に4が出ました。よって、あなたのカムとカムオッズも的中です。カムの払戻し 100ドル x 2倍 = 200ドルと、カムオッズの100 x 3倍 = 300ドルを得ることができました。
賭けた金額合計400ドルを引いても、合計550ドルの利益!
いかがでしょうか?イメージできましたか?
場がシラける2つの賭け
次は、ドントパスライン、ドントカムベットをご紹介します。これらはパスラインとカムと真逆の賭け。
ドントパスライン(Don't Pass Line)
ドントパスラインは、パスラインの対極のような賭け方です。
つまり、カムアウトロールで2か3が出ると勝ち、7か11が出ると負け。唯一異なるのは、12の場合は引分けとなります。それら以外の数字が出たら、2投目以降にその数字よりも先に7が出ると勝ちとなります。払戻しは等倍(2倍)です。
ドントカム(Don't Come)
ドントカムは、カムの反対。
カムアウトロール以降に参加できる賭けで、賭けた直後が2か3なら勝ち、7か11なら負け。ドントパスラインと同じく、12は引分け。それら以外なら、そのポイントナンバーよりも先に7が出ると勝ち。払戻しは等倍です。
これらDon'tがつく賭け方をするとなぜ場がシラけるのかは簡単な理由です。
クラップスではパスラインが基本。そしてプレイヤーの1人が代表してダイスを投げる。つまり、勝敗結果は一蓮托生であるにもかかわらず、ドントに賭けるプレイヤーは、他の多数のプレイヤーが期待する結果と反対を望むことになるからです。
特にシューターがドントに賭けようものなら、他のプレイヤーが嫌がって離れてしまうことさえあります。もちろん、ルール上は賭けても全然構わないのですが、ランドカジノではドントパスラインやドントカムは忘れておいてもよいくらい。
次の項目で説明するエニーセブンも、次に7が出ることに期待する賭け方であるため、場がシラける賭けの1つです。よって、雰囲気を重んじるならドントパスライン、ドントカム、エニーセブンは手を出さないほうが無難。
シングルロールベット
ここから解説するシングルロールベット(Single Roll Bet)とは、その名のとおり「賭けた直後の1投の結果のみが対象」の賭けです。
フィールドベット(Field Bet)
フィールドベットは、賭けた直後のスローで2、3、4、9、10、11、12が出たら勝ちという賭け方です。
ベッティングエリアのFieldというところにチップを置きます。配当は等倍(賭け金を含めて2倍)で、2と12のときは2倍(3倍)です。
エニークラップス(Any Craps)
エニークラップスは、賭けた直後に2、3、12が出ると勝ち、それ以外は負けという賭け方です。
ベッティングエリアの中央あたりにあるCrapsと書かれたところにチップを置きます。払戻しは8倍です。
エニーセブン(Any Seven)
エニーセブンは、賭けた直後に7が出ると勝ち、それ以外は負けという賭け方です。
ベッティングエリアの中央あたりにあるSevenと書かれたところにチップを置きます。配当は5倍です。
基本的にクラップスでは、カムアウトロール以降に7が出ることは望ましくないため、エニーセブンは場をシラけさせる賭け。
ホーンベット(Horn Bet)
ホーンベットは2、3、11、12といった出現率が低い目のいずれか1つへの賭けです。
賭けた直後にピンポイントでその数字が出れば勝ち。3と11は15倍、2と12は30倍で払戻しされます。
マルチロールベット
マルチロールベット(Multiple Roll Bet)は、先のシングルロールベットとは反対に賭けたあとに7が出るまで(シリーズ終了まで)有効となる賭け方です。
プレイスベット(Place Bet)
カムアウトロール以降いつでも参加できる賭けで、賭けた数字が7よりも前に出ると勝ち。
倍率は目ごとにことなり、4と10は1.8倍(2.8倍)、5と9は1.4倍(2.4倍)、6と8は1.16倍(2.16倍)となります。このように倍率が細かく設定されているため、プレイスに賭けるときは、チップの計算がしやすいように4、5、9、10への賭けは5の倍数(5ドル、10ドル、15ドル、50ドルなど)で、6と8へは6の倍数(6、12、18、30、60など)で賭けるのが基本。
プレイスベットと、既述のカムベットに追加するオッズベットは的中・不的中のルールがまったく同じであるにもかかわらず、払戻し倍率がわずかに異なります。
比較すると、オッズベットの方が確率に対する払戻しが良心的。よって、厳密にはプレイスベットはあまり手を出さず、オッズベットに賭けた方が有利。
ビッグシックス(Big 6)とビッグエイト(Big 8)
ビッグ6やビッグ8は、7よりも前に6が出ると勝ち、8が出ると勝ちという賭け方です。
ベッティングエリアの角にある6や8のところにチップを置きます。どちらも配当は等倍です。
ビッグ6やビッグ8は、プレイスベットと全く同じルールで的中・不的中が決まるにも関わらず、プレイスベットで勝ったときは1.16倍に対してこちらは等倍。
つまりただ単純に払戻しが低くなっているだけというまさに地雷の賭け。手をだすべきではありません。
ハードウェイ(Hard Way)
ハードウェイは、ゾロ目が出ることに期待する賭け方です。
ベッティングエリアの中央付近にある該当する場所にチップを置きます。4(2と2)、6(3と3)、8(4と4)、10(5と5)の4種類の選択肢があり、7とゾロ目以外のその数字が出るより前に、期待するゾロ目が出ると勝ちとなります。
例えばハードウェイの6に賭けたなら、7、1&5、2&4、5&1、4&2よりも前に3&3の6が出ると勝ち。
4と10は7倍、6と8は9倍。
どの賭け方を狙うべき?どれが地雷の賭け方?
このように、クラップスではさまざまな賭け方が用意されていて、配当が異なることをご理解いただけたと思います。
すでに上記で少し触れているとおり、いくつかの賭け方は「その結果が起こる純粋な確率よりも払戻し倍率が小さい=カジノによる天引きが大きい=ハウスエッジが大きい」ものであり、プレイヤーにとって不利です。
ハウスエッジを簡略化して説明すると、例えばハウスエッジ5%のゲームなら、100ドル賭けると5ドルはカジノの取り分になるということを意味します。だから、ハウスエッジが大きいほど、計算上は長期的にその賭けをし続けると資金の減りが早い。
クラップスで具体的な例を挙げると、プレイスベットの6や8とビッグ6やビッグ8は、まったく同じ賭けなのに配当が違います。両方に賭け続けたら、後者の方が先に資金が尽きてしまうでしょう。
配当が大きいエニークラップスやホーンベットなどは、偶然その目が当たって金銭的にプラスに転じることはあるかもしれませんが、ハウスエッジは10%ほどもあるため、確率を重んじるなら手を出すべきではない賭け方です。
そうした賭け方別の好悪・有利不利を理解するために、「どの賭け方がハウスエッジ何%で、配当は何倍なのか」を改めてまとめました。
賭け方別の倍率とハウスエッジまとめ
以下の倍率の表記は、賭け金を含んで払い戻される数字です。
カッコの数字はハウスエッジの割合。この数字が低いほど、確率的にプレイヤーに良心的と言えます。名前に(単)とついているのはシングルロールベット、(複)とついているのはマルチロールベットです。
パスライン | 2倍(1.41%) |
---|---|
カム | 2倍(1.41%) |
オッズベット | 4と10は3倍、5と9は2.5倍、6と8は2.2倍(すべて0%) |
ドントパスライン | 2倍(1.36%) |
ドントカム | 2倍(1.36%) |
フィールドベット(単) | 2倍。2と12のみ3倍。(5.5%) |
エニークラップス(単) | 8倍(11.10%) |
エニーセブン(単) | 5倍(16.67%) |
ホーンベット(単) | 2と12は31倍(13.89%)、3と11は16倍(11.1%) |
プレイスベット(複) | 4と10は2.8倍(6.67%)、5と9は2.4倍(4%)、6と8は2.16倍(1.52%) |
ビッグ6(複) | 2倍(9.09%) |
ビッグ8(複) | 2倍(9.09%) |
ハードウェイ(複) | 4と10は8倍(11.10%)、6と8は10倍(9.09%) |
もっともハウスエッジが小さいのはオッズベットの0%。しかし、オッズベットはパスラインやカムへ追加で賭けるものなので(ドントパスライン、ドントカムへも追加可)、基本の賭けでハウスエッジが小さい狙うべき賭けはパスラインとカム(1.41%)、そしてドントパスライン、ドントカム(1.36%)になります。
ハウスエッジだけならドントの2種の方がほんの少し有利ではありますが、ムードを壊す賭け方なので、ランドカジノでは敬遠を。
基本はパスラインとカム、そしてそこに追加のオッズベット。
クラップスをプレーするなら、まずはこの3つを覚えておけば大丈夫です。
あとは、確率やハウスエッジうんぬんを気にしないなら、ドント2種とエニーセブンの"逆目期待3種"と、ただ素人であることを露呈するだけのビッグ6とビッグ8さえ外しておけば、そのときのあなた自身の勘に期待して色々賭けてみるのも楽しいと思います。
ゲームの展開シミュレーション
それでは、ここまでを踏まえてゲームのシミュレーションをご覧下さい。あなたとプレイヤーA、Bの3人でプレーしているものとします。
セブンアウトであっさり交代も普通。しかし…
このシミュレーションは好例で、実際は2投目でいきなり7を出してセブンアウトでシューター交代ということもよくあります。7が出る確率が一番高いですから。
しかし、この例のように7を出さずにシリーズが続くと、そのあいだに同じテーブルにつくプレイヤー全員がいろいろな賭けで賞金を増やし続けるちょっとしたフィーバー状態になります。
この、プレイヤーみんなで盛り上がっていくさまが、他のカジノゲームでは味わえないクラップスの醍醐味。
シューターのマナー
シューター役は、そのテーブルでプレーしている(賭けている)プレイヤーが交代で行います。賭けずに傍観しているだけではシューター役になれません。なお、辞退して次の人に譲ることもできます。
シューターには、2つやってはいけないことがあります。それは「ダイスを投げるときに両手を使うこと」と「ダイスを持った手をテーブルの外に出すこと」です。理由はどちらもイカサマを疑われるためで、ダイスを持った手は必ずテーブル内で見えるようにしておき、また片手で投げます。そして、ダイスをテーブルの反対側の壁に当てるようにします。(もしもテーブルの真横からゲームに参加しているなら、どちらかの壁に当てる)
現場で他のプレイヤーがプレーしている様子を見れば、なるほどそういうことかとすぐに理解できるかと思います。また、シューター役になるとディーラーが手元にいくつかのダイスを持ってきて、あなたはそこから2つを選びます。このとき見せられたダイスは全部まったく同じもので、あなたに選ばせるのは「カジノ側はイカサマをしていませんよ」という意味です。
クラップスの専門用語集
最後に、備忘録としてクラップスでよく使用する専門用語をまとめておきます。
シューター(Shooter)
ダイスを投げる人。
カムアウトロール(Come Out Roll)
シューターによる1投目。
シリーズ(Series)
一人のシューターがダイスを投げ続けている間のこと。
セブンアウト(Seven Out)
7を出してシューターが交代になること。
ポイントナンバー(Point Number)
そのシリーズにおける、パスラインやカムへの賭けに対する当たり数字のこと。
パスライン(Pass Line)
クラップスの代表的な賭け方。カムアウトロールで7か11が出ると勝ち。2、3、12は負け。それ以外の数字が出たら、2投目以降に7より先にその数字(ポイントナンバー)が出ると勝ち、という賭け。
カム(Come)
カムアウトロール以降に参加できる、クラップスの代表的な賭け方。カムに賭けた直後の目が7か11なら勝ち、2、3、12なら負け。それ以外の数字なら、その数字がそのカム賭けにとってのポイントナンバーとなり、以降で7より先にポイントナンバーが出ると勝ち。
オッズ賭け(Odds Bet)
パスラインやカムに、あとから追加できる賭け方。カジノのハウスエッジが0%で確率的には最も良心的な賭け方。
クラップス(Craps)
このゲームの名称であり、パスラインにおいて、2、3、12が出て負けてしまうこと。
ナチュラル(Natural)またはウィン(Win)
パスラインで、7か11が出て勝つこと。
シングルロールベット(Single Roll Bet)
賭けた直後の目のみを対象とした賭けの種類のこと。具体的には、フィールドベット、エニークラップス、エニーセブン、ホーンベットなどがあります。
マルチロールベット(Multiple Roll Bet)
賭けたあと、7が出るまでに目当ての数字が出たら勝ちとなる賭けの種類。具体的にはプレイスベット、ビッグ6、ビッグ8、ハードウェイなどがあります。
クラップスのルール解説まとめ
いかがでしょうか?長々と説明してきましたが、クラップスというゲームの全体像、そしてルールの詳細はご理解いただけましたか?
クラップスは、ルーレットと同じく結果が運次第でありながら、「不利な賭け方は避ける」という予習は必要です。それは、基礎戦略という知識があるかないかで収支が左右されるブラックジャックにも似ています。そして、その不利な賭け方さえ避ければバカラ並にハウスエッジが小さくプレイヤーにとって確率的に良心的となります。
つまりクラップスは、ルーレット、ブラックジャック、バカラの特徴をあわせ持ち、「狙うべき賭けを狙えば、頭を使わず勝てるかも!?」というゲームとも言えるでしょう。
だからこそハイローラー達がこぞって参加するのかもしれません。
ランドカジノにてクラップスの魅力をたっぷり味わうためにも、いつでもこの解説はご活用下さい。